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「パワハラ防止法」の施行によって企業に求められる対策とは?
- 2022/7/27
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「パワハラ防止法」が2020年6月1日に施行
2020年6月1日から、「パワハラ防止法」の通称で知られる改正労働施策総合推進法が施行されます。中小企業は2022年3月末日まで、努力義務規定という形で時間的な猶予が与えられますが、4月1日以降は大企業と同じように社内でパワーハラスメント対策を講じなければなりません。
今回の法改正で変わるのは、企業にパワハラ対策のための措置を義務づけたことです。そのため、パワハラの定義も法律によって明確化され、これからは国の施策として対策が行われることになります。具体的な変化としては、企業がパワハラ対策のための適切な措置を講じていないと判断された場合、指導や勧告などの是正措置の対象となることです。さらに、それでも改善が見られないときには、罰則的な意味合いで企業名が公表されることになります。
パワハラについての正しい知識を得ることが大切
厚生労働省によると、2018年度に全国の地方労働局に寄せられたパワハラについての相談件数は、前年度から14.9%増加の8万2797件と過去最高記録となっており、7年連続でトップとなっています。これにより、今回の改正案が成立する以前から、パワハラは大きな社会問題となっていることがわかります。特に少子高齢化などの影響で人財不足が深刻化しているなか、パワハラが原因で離職者を出してしまうのは、企業にとって不利益となります。
また、企業が国からの是正勧告にきちんと応じない場合、企業名が公表されることになります。これにより、「パワハラ企業」というレッテルを貼られてしまうと、企業イメージを回復させるのに多大な労力と時間が必要となるでしょう。したがって、こうしたことを防ぐためにも、パワハラについての正しい知識を社内で共有する必要があります。そのためには、社員にパワハラについての研修や講習を繰り返し受けさせることが効果的です。具体的には、どのような言動がパワハラになるのかを知り、パワハラへの対応策を議論できるような企業環境を作ることが重要となります。
適切なパワハラ対策によって企業価値を上げる
海外の先進国では、パワハラに対してしっかりと罰則を設けて抑止に取り組んでいる国が少なくありません。これと比較すると、日本の「パワハラ防止法」は、罰則規定がないため、あまり踏み込んだ対策とは言えないでしょう。しかし、今回の法改正で、企業にパワハラを防止するための措置を義務づけたのは、確実に一歩前進です。さらに、罰則の意味合いで企業名が公表されることも、企業にとっては危機感を持って受け止められる大きなきっかけとなります。
今回の法改正によって企業の負担は増しますが、これを一つのチャンスと捉えることも可能です。職場でのパワハラが社会問題化しているなかで、社員が研修や講習でパワハラの正しい知識を身につけ、実践していくことは企業価値の向上につながります。さらに、国内外の優秀な人財を幅広く雇用して企業を成長させていきたい場合にも、世界共通の問題であるセクハラ対策は避けて通ることができません。このように、この機会を利用して社員の意識改革を図っていくことが望まれます。