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オンボーディングとは?意味・目的・実践法を完全解説
- 2025/3/21
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企業の成長を支える上で、人材の育成は不可欠です。その中でも、新しく組織に加わったメンバーがスムーズに活躍できるよう支援する「オンボーディング」は、近年特に重要視されています。この記事では、「オンボーディングとは一体何なのか?」「なぜ重要なのか?」といった疑問を解消し、具体的な実践方法までを詳しく解説します。オンボーディングを理解し、効果的に活用することで、組織全体の成長を加速させましょう。
目次 こちらをクリックすると詳細を表示・非表示できます
- 1.オンボーディングの基本
- 2.オンボーディングと関連用語
- 2-1.ビジネスにおけるオンボーディングの定義
- 2-2.オンボーディングと他の研修との違い
- 3.オンボーディングが注目される背景
- 3-1.早期離職率の高止まり
- 3-2.労働人口の減少による人材不足
- 3-3.リモートワークの普及
- 4.オンボーディングのメリット
- 5.オンボーディングの実施ステップ
- 5-1.目標設定
- 5-2.オンボーディングプログラムの作成
- 5-3.プログラムの実施とフォロー
- 5-4.プログラムの見直しと再実行
- 5-5.入社前、入社直後、入社数ヶ月後のプログラム例
- 6.オンボーディング実施のポイント
- 6-1.人事担当者による信頼関係構築
- 6-2.情報の一元化とアクセス容易化
- 6-3.メンター制度の導入
- 6-4.スモールステップ法の導入
- 6-5.上司や同僚とのコミュニケーション促進
- 6-6.全社的な意識づけ
- 7.オンボーディングの成功事例
- 7-1.サイボウス株式会社
- 7-2.株式会社メルカリ
- 7-3.日本オラクル株式会社
- 8.まとめ
1.オンボーディングの基本
下記の記事でも詳しく説明していますので、ぜひご覧ください。
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1-1.オンボーディングの語源 (on-board)とビジネスでの意味
オンボーディングとは、もともと「on-board」、つまり「乗り物に乗る」という意味の言葉です。ビジネスにおいては、新しく組織に加わった人材を、早期に組織に馴染ませ、戦力化するための取り組み全般を指します。具体的には、新卒社員、中途採用者、異動者など、新しい環境に身を置く全ての人々が対象となります。
1-2.オンボーディングの目的
オンボーディングの主な目的は、新入社員が組織にスムーズに馴染める環境を作り、早期離職を防ぎ、早期の戦力化を実現することです。また、部署間の教育格差をなくし、組織全体の底上げを図ることも重要な目的の一つです。これらの目的を達成することで、組織全体のパフォーマンス向上に繋げることができます。
2.オンボーディングと関連用語
ここでは、オンボーディングと関連する用語について詳しく解説します。
2-1.ビジネスにおけるオンボーディングの定義
まずは、ビジネスにおけるオンボーディングの定義を再確認しましょう。オンボーディングは、人材育成において、非常に重要な役割を担っています。
オンボーディングは、入社前から入社後までの一連のプロセス全体を指します。それぞれの段階で目標を設定し、計画的に進めることが重要です。例えば、入社前には会社概要や企業理念を共有し、入社直後には社内システムやルールを説明、入社後には業務トレーニングやメンター制度を導入するなどのプロセスが考えられます。
英語では、「on-boarding」と表記され、意味は日本語とほぼ同じです。海外の企業では、より積極的にオンボーディングを取り入れている事例も多く見られます。例えば、グローバル企業では、多文化理解や異文化コミュニケーションに関するオンボーディングプログラムが実施されています。
2-2.オンボーディングと他の研修との違い
OJT(On the Job Training)は、実務を通じてスキルを習得する研修で、スキルアップが目的です。一方、オンボーディングは組織への適応を支援し、長期的な育成やサポートを行う仕組みです。新人研修は入社直後に行う基礎研修で、会社方針やビジネスマナーを学ぶ場ですが、オンボーディングは入社後も継続的に行われ、組織の一員として成長を促します。
3.オンボーディングが注目される背景
オンボーディングが注目される背景には、次の4つの社会的な変化があります。
- 1.早期離職率の高止まり
- 2.労働人口の減少による人材不足
- 3.リモートワークの普及
- 4.企業における人材育成の必要性の高まり
それぞれ詳しく解説します。
3-1.早期離職率の高止まり
新入社員が早期に離職してしまうことは、企業にとって大きな損失をもたらします。
厚生労働省の調査によると、令和3年3月卒業の新規学卒就職者の3年以内の離職率は、高卒38.4%(前年度比1.4ポイント増)、大卒34.9%(同2.6ポイント増)となりました。
参照:新規学卒就職者の離職状況(令和3年3月卒業者)を公表します(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000177553_00007.html
早期離職が増えてしまうと、採用活動にかかった費用や教育・研修の投資が回収されないまま無駄になります。さらに、新入社員が戦力化する前に退職することで業務の穴を既存社員が補わざるを得ず、生産性が低下します。また、離職が続くことで職場の士気が下がり、他の社員への不安感を招くだけでなく、企業の評判が低下し、新たな人材採用にも悪影響を与えます。加えて、再採用や再教育に余計なコストがかかる一方で、職場環境やマネジメントに問題がある場合は労働トラブルや法的リスクが生じる可能性もあります。
3-2.労働人口の減少による人材不足
労働人口の減少による人材不足が深刻化しており、採用した人材を大切に育成することがますます重要となっています。近年、人手不足関連倒産の割合が上昇しており、人手不足は企業にとって死活問題です。さらに、コロナ禍から経済が回復する中で、生産年齢人口の急激な減少が状況を一層悪化させる恐れがあります。
参照:人口減少社会への対応と 人手不足の下での企業の人材確保に向けて(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/content/001182285.pdf
3-3.リモートワークの普及
近年、リモートワークが普及したことで、コミュニケーション不足や孤立感を感じる社員が増えています。そのため、組織への帰属意識を高めるためのオンボーディングの重要性が増しています。さらに、企業における人材育成の必要性が高まっており、組織全体の成長を支えるために、オンボーディングが重要な役割を担っています。
4.オンボーディングのメリット
オンボーディングは、従業員と企業の両方に多くのメリットをもたらします。
4-1.従業員側のメリット
従業員側のメリットとしては、まず社員同士の交流が促進される点が挙げられます。これにより、職場の雰囲気に馴染みやすくなり、安心して業務に取り組むことができます。また、オンボーディングを通じて、組織への貢献意識が高まり、モチベーション向上に繋がります。
さらに、オンボーディングは、従業員のエンゲージメント向上にも効果的です。自分の役割や成長を実感でき、組織への愛着心が深まります。
4-2.企業側のメリット
企業側のメリットとしては、新入社員の早期戦力化が挙げられます。しっかりとオンボーディングを行うことで、新入社員はスムーズに業務を習得し、早期に活躍できるようになります。
また、オンボーディングは、従業員の定着率向上にも貢献します。組織への満足度が高まることで、離職率を抑制し、採用コストの削減にも繋がります。そして、チームの生産性向上にも繋がります。新入社員がスムーズにチームに溶け込み、能力を最大限に発揮することで、チーム全体のパフォーマンスが向上します。
5.オンボーディングの実施ステップ
オンボーディングを効果的に実施するためには、段階を踏んで計画的に進めることが重要です。
- 1.目標設定
- 2.オンボーディングプログラムの作成
- 3.プログラムの実施とフォロー
- 4.プログラムの見直しと再実行
- 5.入社前、入社直後、入社数ヶ月後のプログラム例
順番に沿ってそれぞれ説明します。
5-1.目標設定
まず、具体的な目標設定を行いましょう。例えば、業務に必要なスキルレベルや業務遂行レベルを設定します。目標は、数値化できるものが望ましく、達成度を測れるようにすることが大切です。
5-2.オンボーディングプログラムの作成
次に、目標達成に向けたオンボーディングプログラムを作成します。プログラムには、会社方針、社内ルール、業務トレーニングなどを含めます。プログラムは、対象者や部署に合わせて柔軟に作成することが重要です。プログラムを作成する際は、教育担当者だけでなく、現場の社員も巻き込むようにしましょう。
5-3.プログラムの実施とフォロー
プログラムの実施と並行して、1on1ミーティングや定期的なチェックインを行いましょう。進捗状況を確認し、悩みや不安を解消することで、新入社員の成長をサポートします。1on1ミーティングでは、業務に関するフィードバックだけでなく、キャリアに関する相談にも乗ることが大切です。
5-4.プログラムの見直しと再実行
オンボーディングプログラムは、実施後も定期的に見直しを行う必要があります。アンケート調査やフィードバック、目標達成度を分析し、改善点を見つけ出しましょう。効果的なプログラムにするためには、定期的に見直し、改善していくことが重要です。
5-5.入社前、入社直後、入社数ヶ月後のプログラム例
オンボーディングプログラムは、入社前、入社直後、入社数ヶ月後と、時期ごとに内容を変化させることが効果的です。入社前には、会社の情報を共有し、入社直後には、社内ルールや業務の流れを説明します。入社数ヶ月後には、業務の振り返りや今後の目標設定などを行い、継続的な育成を目指します。
6.オンボーディング実施のポイント
オンボーディングを成功させるためには、6つのポイントを押さえる必要があります。
- 1.人事担当者による信頼関係構築
- 2.情報の一元化とアクセス容易化
- 3.メンター制度の導入
- 4.スモールステップ法の導入
- 5.上司や同僚とのコミュニケーション促進
- 6.全社的な意識づけ
それぞれ詳しく説明します。
6-1.人事担当者による信頼関係構築
まず、人事担当者は新入社員との信頼関係構築を意識しましょう。親身になって相談に乗り、新入社員の不安を取り除くことが大切です。人事担当者は、新入社員にとって最初の相談相手となることが多いので、信頼関係が重要です。
6-2.情報の一元化とアクセス容易化
オンボーディングに必要な情報を一元化し、アクセスしやすい状態にしましょう。社内ポータルサイトやFAQを作成し、新入社員がいつでも必要な情報にアクセスできるようにします。情報が分散していると、新入社員はどこに情報があるのか分からず、混乱してしまう可能性があります。
6-3.メンター制度の導入
メンター制度の導入も効果的です。先輩社員がメンターとなり、新入社員をサポートすることで、スムーズな組織への適応を促します。メンターは、業務に関する質問だけでなく、職場環境に関する悩みなどにも対応する必要があります。
6-4.スモールステップ法の導入
スモールステップ法を導入し、業務を段階的に教えることも大切です。最初は簡単な業務から始め、徐々に難易度を上げていくことで、新入社員は自信を持って業務に取り組むことができます。一度に多くのことを教えるのではなく、段階的にステップアップしていくことが重要です。
6-5.上司や同僚とのコミュニケーション促進
上司や同僚とのコミュニケーションを促進し、チームの一員として迎え入れるようにしましょう。定期的な交流会やランチ会などを開催し、新入社員が職場に馴染めるようにサポートします。チーム全体で新入社員をサポートすることで、より一体感のあるチームを築くことができます。
6-6.全社的な意識づけ
オンボーディングは、人事部だけでなく、全社的な意識づけが重要です。経営層から現場の社員まで、オンボーディングの重要性を理解し、協力体制を構築しましょう。全社一丸となって取り組むことで、オンボーディングの効果を最大限に発揮することができます。
7.オンボーディングの成功事例
多くの企業が、オンボーディングの重要性を認識し、さまざまな取り組みを行っています。ここでは、オンボーディングの成功事例をいくつかご紹介します。
7-1.サイボウス株式会社
サイボウズ株式会社では、新卒向けに3カ月、キャリア採用向けに6カ月のオンボーディングを実施。多様な人材に対応するため明確なコンセプトを設け、kintoneアプリで情報を集約し効率化を図っています。さらに、オンボーディング後も継続的なスキルアップ環境を整備し、社員の成長を支援しています。
7-2.株式会社メルカリ
株式会社メルカリでは、リモート入社の増加に伴い、新入社員がタスクに混乱しないよう「オンボーディングポータル」を導入しました。
このポータルでは、タスクが「入社後3日以内」「1週間以内」「1ヶ月以内」と期限ごとに整理されており、視覚的に分かりやすい仕組みとなっています。
また、個別のKPI設定により指導コストを削減。ITを活用したメルカリらしい取り組みとして成功を収めています。
参照:「すべての新入社員に素晴らしいオンボーディング体験を」リモートオンボーディングを成功させる施策 #メルカリの日々
7-3.日本オラクル株式会社
日本オラクル株式会社では、各部署が独自にオンボーディングを実施し、自律性の高い組織文化に適応。人材情報を一元化したシステムを活用し、上司や人事部など多様な相談先が的確なサポートを提供できる仕組みを整えています。この施策により、エンゲージメント向上や早期離職の防止を実現しました。
参照:独自のオンボーディングで従業員エンゲージメント向上:日本オラクル
これらの事例から、各社が自社の文化や事業内容に合わせて、創意工夫を凝らしたオンボーディングプログラムを実施していることが分かります。成功事例から学ぶべきポイントは、自社の課題や目的に合わせて、最適なオンボーディングプログラムを設計することです。
8.まとめ
オンボーディングは、企業の人材戦略において非常に重要な要素です。新入社員がスムーズに組織に馴染み、早期に戦力化することで、企業全体の成長に繋がります。この記事で解説したように、オンボーディングは単なる研修ではなく、組織全体で取り組むべき人材育成の重要なプロセスです。
今後、企業におけるオンボーディングの重要性はますます高まっていくと考えられます。労働人口の減少や働き方の多様化が進む中で、優秀な人材を確保し、育成するためには、より効果的なオンボーディングプログラムが不可欠です。
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