接遇研修はなぜ必要か?得られるメリットや研修の選び方も紹介

接遇は、多くの業界で求められるワンランク上の接客です。業務の遂行のみならず「おもてなしの心」を持って顧客と接し、ロイヤルティを高めることに注力する企業が増えています。一方、接遇力は日常業務をこなすだけでは身につきません。接遇研修を受けるなど、積極的に学ぶ姿勢が必要です。この記事では、接遇研修が必要な理由や研修を受けることで学べる内容とメリット、研修の選び方を解説します。

1.接遇研修とはどのようなものか

接遇研修とは、接遇力の向上を目的としたビジネス研修です。多くの場合、元CAなど接客のプロを講師として招き、講義や実践を通じて、言葉遣いやビジネスマナー、ホスピタリティなどを学びます。接遇は、接客マナーはもちろんのこと、顧客のニーズに応えることが非常に重要です。そのためには、相手が望むことや考えていることを察知する力や、スマートに要望に応える力が必要になります。接遇研修では、顧客のニーズに応える接客ができるようになるために、コミュニケーション能力を向上させる方法やクレームの対応、マネジメントなどを学びます。

必要とされる接客スキルは業種によって異なる一方で、接遇力は業種を超えて通ずる点が多いという特徴があります。そのため、ホテルやレストランをはじめとするサービス業のほか、医療や介護などの人と接する機会が多い職種や、金融、自動車業界などの比較的高額な商品を売る職種でも接遇研修が行われています。

2.接遇研修が必要とされる理由

高度経済成長期以降、日本では「いい商品であれば売れる」という認識が広く浸透していました。しかし、第三次産業が発展した現状では、商品の質のみならず、担当者の良し悪しに付加価値を見出す顧客が増えています。扱う商品は同じでも「この店で売っているものを買う」「この人が担当なら買う」など、信用や信頼の度合いによって購買するか否かを決める人も少なくありません。一方、この状況はサービスを提供する側からすると、対応の仕方や雰囲気を工夫することで競合他社との差別化を図れるということでもあります。

そこで必要となるのが接遇力です。どれほど質のいい商品であっても、どれほど競合他社よりも安い価格設定をしていても、接客態度が悪かったり不親切だったりするとクレームや顧客喪失につながる恐れもあります。直接的な問題提起をされなくても、SNSなどで悪評が広がる可能性も否めません。このような事態にならないよう、サービスを提供する側は日々、接遇力を磨き、多くの顧客に想像以上の満足を得てもらえるよう努力する必要があります。

3.接遇研修を行うことで得られるメリット

接遇研修を受けることは、顧客と接客を行う人、双方に多くのメリットをもたらします。ここでは、その中でも特に大きなメリットである利益の向上、取引先とのやりとり、従業員のモチベーション維持について解説します。

顧客満足度が向上し利益をもたらす

接遇研修が必要とされる理由にも記載したとおり、接遇力は顧客満足度に大きな影響を与えます。接遇力は目に見える物差しで測れないものの「あの店はなんとなく感じがいい」「あのホテルに行くと気分がいい」という経験を持っている人も多いでしょう。わからないことがあってスタッフに質問をする際にも、話しかけやすい雰囲気の人を知らず知らずのうちに選んでいるかもしれません。

このような顧客に対し、高い接遇力で対応すると、顧客との良好な関係が生まれます。リピーターになってくれるだけでなく、いい口コミを発信してくれるなど、思いがけない宣伝を行ってくれる可能性も少なくありません。こうして企業のブランド力や信頼度が向上することで、サービスの幅も広がり、結果として企業の利益も向上します。

取引先とのスムーズなやりとりが可能になる

取引先は同じ船に乗る運命共同体です。発注する側にいると、つい自分のほうが客であるという認識になりがちですが、発注する先がなければ商売はできません。そのため、取引先とは常に良好な関係を築いておく必要があります。お互いが気分よく仕事をして利益を上げるためには、信頼、尊敬、共感できる会社と取引をすることがもっとも重要です。高圧的な態度では、お互いにいい影響をもたらしません。

一方、接遇力が高い会社は取引先からも好感を得られ、スムーズなやりとりが可能になります。接遇に重きを置いた社風は会社全体に浸透するため「あの人は対応がいいけれど、この人は悪い」ということもありません。安心して取引できる会社として、社外からの評判もよくなります。

従業員のモチベーション維持につながる

サービスを提供する側にとって、顧客からの「ありがとう」ほど大きな報酬はありません。また、上司や同僚からも仕事に対する姿勢が評価され、心配りのあるコミュニケーションが実現します。十分なコミュニケーションのもとで行う仕事は効率が上がり、おのずと従業員の自信にもつながります。接遇力の高さは、顧客からの感謝と社内での適切な評価を生み、従業員は企業に対して信頼の心を持つようになるでしょう。

企業の中で働き続けるために必要なことは、その会社で働けることに対する誇りです。誇りは、一流といわれる接客を行うことで自然と持てるようになります。接遇力の高い企業で働いているという意識は、従業員のモチベーション維持につながるでしょう。

4.接遇研修を選ぶときのポイント

接遇研修のすべてを社内で完結することはハードルが高く、偏った研修内容になる可能性もあります。そこで必要になるのが外部の接遇研修サービスです。ここでは、接遇研修を選ぶ際のポイントを解説します。

実績

一口に「接遇」と言っても、適切な接遇は時代の流れとともに変化します。時代遅れの接遇は顧客のニーズに合わず、接遇のメリットを享受できない可能性も否めません。そのため、まずは過去1年間の研修開催数を確認しましょう。有名な企業であっても、5年以上前の時代に即していない研修を行っているケースもあります。反対に、参入して間もない企業でも、綿密なリサーチのもとに時代のニーズをつかんだ研修を行っている場合もあります。

また、その接遇研修を利用している企業に、同業他社がいる場合は、自社のニーズにも合う可能性が高くなります。利用企業やユーザーの評価はどうなのかなど、事前調査はしっかりと行いましょう。

講師

接遇研修は、開催している企業によって強みや得意分野が異なります。特に講師がどのような人物であるかは確認が必要です。自社の業界に精通した講師がいることはもちろん、企業自体もその業界が得意分野であることが望ましいでしょう。

経験豊富な講師からの指導は従業員の習得率が高まります。一方で、必ずしも年齢を重ねていれば経験豊富というわけではありません。また、実績でも記載したように、時代のニーズに即した研修を行う講師であることも重要です。年齢や性別、過去の実績のみならず、自社の雰囲気になじむ講師が在席している企業を選びましょう。

実施形式

接遇研修の多くは、同一の会場に研修を受ける人が集まり、講師の講話を聞いてロールプレイングなどを行います。通学型に加え、オンライン型も増えてきています。この形式は集合研修と呼ばれ、異業種の同じ役職や階級の人とチームを組んで行うケースも少なくありません。会社内での役職とは異なる視点から接遇を見ることで、自分の問題点に気づくこともあります。カリキュラムに、グループワークやディスカッションが含まれていると、なお気づく点が多くなるでしょう。

出張研修は、事前に講師との打ち合わせができるため、自社で問題だと感じている点や改善したい点など、事例を盛り込んだカリキュラムでの研修が可能です。eラーニングなどの個人学習型は、空いている時間を利用して受講することで日常業務の形態を崩すことなく研修を受けられます。一方で、個人型であるがゆえに進捗状況などがわかりにくい場合もあるため、定期的な効果測定が重要です。

5.自社に合った接遇研修を

従業員の接遇力を上げるためには、効果の高い研修を受講することが重要です。ホスピタリティ&グローイング・ジャパンでは、サービス業に特化したさまざまな人材育成講座を展開しています。集合型のオンライン研修や講師を派遣する出張研修にも対応しており、企業に合う形式での開催が可能です。ホスピタリティマインドが身につく講座を受講して接遇力の向上を図りましょう。

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投稿者プロフィール

株式会社ホスピタリティ&グローイング・ジャパンにて、
各種サービスの企画担当を経て、現在はマーケティング部門にて編集を担当。
学生時代は居酒屋店員として4年間のアルバイトを経験し、飲食店の現場事情に精通。
今でもお店を訪れるとスタッフの動きが気になってしまう、自称『店舗事情ウォッチャー』。

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