ビジネスではモチベーションという言葉がよく使われます。何かをするための動機付けや目的意識、意欲などを意味する言葉です。モチベーションなくしてよい仕事はできません。社員のモチベーションを上げることが会社の業績の向上にもつながるはずです。この記事では社員のモチベーションを上げる方法やメリットについて紹介します。
1.モチベーションを上げるメリット
組織のマネジメントにおいて、社員のモチベーション向上が重要であるとよく言われます。それは内発的、外発的2種類のモチベーションが存在し、それらをうまくコントロールすることが企業のメリットにつながるからです。社員自身の内側から湧き上がってくる意欲を内発的モチベーション、会社から与えられるポジションや評価、金銭的なインセンティブによる意欲を外発的モチベーションといいます。会社経営や組織管理で重要視されるのは、内発的モチベーションによるメリットの方です。
一般的に社員のモチベーションを上げることが離職率の低下につながるといわれます。「楽しい」「やりがいがある」と感じる仕事や達成感を味わえる仕事をわざわざ辞めて、新たな仕事を探そう思う人はまずいないでしょう。逆に、モチベーションが低い状態では「仕事が楽しくない」「やりがいが感じられない」と後ろ向きの感情が湧いてくるため、退職を意識することが多くなります。そのような状態では労働生産性が下がるのは当然です。離職率が上って退職者が相次げば採用コストもかかるので、企業にとって良いことは何もありません。
逆に社員のモチベーションが高ければ離職率は低く抑えられます。企業は余分な採用コストをかける必要がありません。そのうえ、モチベーションの高い社員は、周囲に配慮しながら仕事をします。働きやすい職場環境になれば、更に社員のモチベーションも向上するでしょう。
2.社員のモチベーションを上げる・維持する方法
社員のモチベーションを上げることは、組織にとってメリットが多いことがわかりました。ここからは、社員のモチベーションを上げる方法や、高まったモチベーションをそのまま維持する方法について見ていきましょう。
経営方針を明確に伝える
経営者が社員に向けて経営方針を明確に伝えることが、社員のモチベーション向上につながります。なぜなら、自分の行っている業務が、組織の中でどのような形で活かされているのかを実感するきっかけになるからです。組織の規模が大きければ大きいほど、社員ひとりひとりは自分がまかされている仕事の意味がわかりにくくなります。
自分の行っている業務が、会社にどのような利益を生み出しているのか理解できなければ、モチベーションを維持することは困難です。そして、自分の仕事の意味がわらなくなることは、モチベーション低下の大きな原因となります。経営者が経営方針をはっきりと伝えることは、個々の社員が自分の仕事にどのような意味があるのかを感じとるために重要なことなのです。
また会社の経営方針が明確化していなければ、会社に対して不安が募ることにもなるでしょう。不安を感じながら仕事を続けるのは容易ではありません。安心して仕事に取り組めることも、モチベーション向上につながり、離職率低下にもつながります。
人事評価制度を改善する
人事評価は直接昇給や昇格に関わるものなので、その内容がモチベーションに大きく影響します。仕事をどれだけ頑張っても、評価されなければモチベーションが低下するのも当然です。評価される側、評価する側双方にとって納得のいく人事評価にするためには、どのような成果が評価につながるのかを明確にしたシステムを作らなければなりません。明確なシステムがあれば、どの成果が評価され昇給・昇格につながったのかがわかるので、不満を減らすことができるでしょう。
人事制度を改善する方法としては、まず社員に評価基準を十分に理解してもらうことが大切です。そのうえで、評価の公平性を約束する必要があります。評価に際して、1 on 1 のミーティングを行うことも改善につながるでしょう。明確な評価基準を示すことは、仕事に取り組む際の方向性をはっきりと示すことにもつながります。その点でもモチベーションアップのきっかけになるでしょう。
会社の環境を整える
会社の環境を整えることも、社員のモチベーションを上げるうえで有効です。いくら意欲を持って仕事に臨んでいても、周囲に労働意欲の低い人しかいなければ、徐々に意欲が削がれていってしまいます。自分だけが浮いているような感覚になり、周りに合わせなければならないと感じるかもしれません。それではせっかく高く維持していたモチベーションが周りにつられて下がることになってしまいます。社員のモチベーションを高い状態で維持するためには、職場環境がとても重要なのです。
社員のモチベーションを向上させたければ、社員が新しいことにチャレンジできる環境を整えるというのもひとつの方法です。社内ベンチャー制や社内コンテストなど方法はいろいろあります。社員が主体的に動くことのできる環境をまずは整えましょう。社員が自発的にやりたいと思ったことにチャレンジできない環境は、モチベーションを下げる原因になります。「給料だけもらったらよい」「自分の業務以外のことはやりたくない」といった考えに陥らせない環境にすることが大事です。
成果を上げた人に対し表彰する
成果を正しく評価し、昇給や昇格につながれば、外発的モチベーションは向上します。しかし、外発的モチベーションだけが上がっても、内発的モチベーションが低いままでは離職率の低下にはつながりません。もっと高いインセンティブを求めて、他社への転職を考えることになってしまうからです。成果を上げて給料が上がったとしても、それを周りに公表することはなかなかできません。成果を上げたことを会社には認められても、周りには認められていないという感覚になるでしょう。この感覚が内発的なモチベーションを下げる向きに働いてしまいます。
モチベーションは外発的なものと内発的なもののバランスがとれていなければなりません。そこで効果が期待されるのが成果を上げた人に対する表彰です。表彰は、内発的、外発的両方のモチベーションを向上させることにつながります。自分の上げた成果を周囲から褒められてうれしくない人はいないでしょう。次も頑張って成果を上げようという内発的なモチベーションを上げることになるのです。しかも、成果を上げた人に対する表彰は、周囲にとっても刺激になります。表彰は全体的なモチベーションの向上、組織の活性化にも有効な方法です。
ワークライフバランスを充実させる
長時間労働によってワークライフバランスが乱れて心身が疲弊している状態では、モチベーションの維持や向上を語るどころではないでしょう。ワークライフバランスを健全な状態に維持することは、モチベーションの維持や向上以前の問題です。土台があって初めてモチベーションの話ができるのですから、まずはワークライフバランスを充実させることが先決です。ワークライフバランスを充実させるためには、労働時間を適正に管理し、有給休暇をきちんと取得できるようにしなければなりません。これは、社員本人だけがいくら心がけてもうまくいかない問題で、会社の協力が必要です。社員のモチベーションが向上することは、企業にとってもメリットがあります。企業側が社員の労働時間や有給休暇の取得状況を把握し、ワークライフバランスの充実を促すようにしましょう。
3.まずは現状を把握してみよう!
社員のモチベーションは会社に大きな影響を与えます。現在の社員たちのモチベーションを把握するためにも「従業員満足度調査」を実施してみましょう。たとえば、H&Gの従業員満足度調査サービス「H&G ES」はいかがでしょうか。従業員の生の声が明らかになることにより、組織の課題が明確になり、組織改善の取り組みへとつなげやすくなります。ご利用の検討をおすすめします。