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社員エンゲージメントとは?意味と企業成長への影響を徹底解説
- 2025/1/24
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現代の企業運営において、社員のエンゲージメントは注目すべき重要な要素です。特にビジネス環境がますます競争的になる中で、社員エンゲージメントの向上は組織の成功に直結しています。本記事では、社員エンゲージメントの定義や意味、企業成長への影響、そしてそれを高めるための方法について詳しく解説します。
目次 こちらをクリックすると詳細を表示・非表示できます
- 1.社員エンゲージメントとは?
- 1-1.社員エンゲージメントの定義と意味
- 1-2.社員満足度との違い
- 1-3.日本の従業員エンゲージメント
- 1-4.エンゲージメント向上の重要性
- 2.社員エンゲージメントが企業成長に与える影響
- 2-1.パフォーマンスとの関連性
- 2-2.チームワーク強化と組織文化の役割
- 2-3.社員エンゲージメントを高める企業事例
- 3.社員エンゲージメントを高める方法
- 3-1.モチベーション向上のための施策
- 3-2.チームワーク強化の重要性と具体的な方法
- 3-3.リーダーシップとコミュニケーションの役割
- 4.社員エンゲージメントの測定方法
- 4-1.エンゲージメント測定の重要性
- 4-2.代表的な測定方法と指標を紹介
- 4-3.組織エンゲージメントの評価方法
- 5.さいごに
1.社員エンゲージメントとは?
社員エンゲージメントは、単なる仕事の満足度とは異なり、社員が組織の目標にどれだけ積極的に関与しているかを示す指標です。この項では、その定義や重要性、満足度との違いを順を追って説明します。
1-1.社員エンゲージメントの定義と意味
社員エンゲージメントとは、社員が企業や組織、仕事に対して、どれほど愛着や誇り、情熱を持って積極的に関わっているかを示す概念です。単なる社員の満足度とは異なり、社員が自らの仕事に意義を感じ、企業の目標達成に貢献したいという意欲を持ち、そのために積極的に行動に移している状態を指します。
高いエンゲージメントを持つ社員は、企業理念やビジョンへの共感、仕事への情熱、職務への集中力、成長意欲、同僚との協力的な関係といった特徴が見られます。
1-2.社員満足度との違い
社員エンゲージメントと混同されがちな概念に「社員満足度」があります。社員満足度は、社員が企業や仕事に対して、どの程度満足しているかを表すものです。給与、福利厚生、労働時間、職場環境といった、社員が企業から受ける待遇に対する満足度が中心となります。
一方、社員エンゲージメントは、社員が企業や仕事にどれだけ貢献したいと感じるか、どれだけ自発的に行動を起こそうとするかといった、より積極的な関与の度合いを表します。
社員満足度が高い状態は、社員が現状に満足している状態であり、必ずしも高いパフォーマンスや貢献意欲につながるわけではありません。一方で、社員エンゲージメントが高い状態は、社員が企業や仕事に対して積極的に関与し、自発的に行動を起こす状態であるため、企業の成長に大きく貢献します。
1-3.日本の従業員エンゲージメント
ギャラップ社の2024年6月の最新調査によると、日本の従業員エンゲージメント(仕事に意欲的に取り組む人)の割合はわずか6%と、世界最低水準であることが明らかになりました。一方、「仕事に意欲を持たない人(Actively Disengaged)」は全体の24%と、意欲的な人の4倍に達しています。日本では、10年以上にわたりこの状況が改善されておらず、働き方改革も効果を上げていません。
アメリカの世論調査やコンサルティングを行っているギャラップ社は、従業員エンゲージメントの低さが日本企業に年間86兆円以上の機会損失をもたらしていると分析しています。この問題は、企業や国の経済に深刻な影響を及ぼす可能性があります。
参照:日本の従業員エンゲージメントはわずか6%、世界最低レベルに(PRNewswire)
1-4.エンゲージメント向上の重要性
企業が競争優位性を築き、持続的な成長を遂げるためには、社員エンゲージメントの向上が欠かせません。エンゲージメントの高い社員は、企業にとって以下のような多大なメリットをもたらします。
- ・生産性向上: エンゲージメントの高い社員は、仕事に対するモチベーションが高く、質の高いアウトプットを生み出す傾向があります。
- ・顧客満足度向上: 情熱を持って仕事に取り組む社員は、顧客に対しても質の高いサービスを提供し、顧客満足度向上に貢献します。
- ・離職率低下: 企業への愛着や仕事へのやりがいを感じている社員は、離職する可能性が低く、人材の定着につながります。
- ・企業イメージ向上: 熱意を持って働く社員の姿は、企業のブランドイメージ向上につながり、優秀な人材の獲得にも貢献します。
このように、社員エンゲージメントを高めることは、企業の成長に欠かせない戦略と言えるでしょう。
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2.社員エンゲージメントが企業成長に与える影響
社員エンゲージメントが高まると、企業パフォーマンスにどのような影響があるのでしょうか。この項では、企業パフォーマンスや組織文化に与えるプラスの影響について詳しく見ていきます。
2-1.パフォーマンスとの関連性
数多くの研究結果が示すように、社員エンゲージメントと企業パフォーマンスの間には密接な関係があります。高いエンゲージメントを持つ企業は、そうでない企業と比べて、売上高、利益率、顧客満足度、社員定着率などの重要な経営指標において、優れた成果を収めていることが明らかになっています。
2-2.チームワーク強化と組織文化の役割
社員エンゲージメントを高めるためには、チームワークを強化し、社員同士が協力し合えるような組織文化を構築することが重要です。
エンゲージメントの高い組織では、社員同士が互いに尊重し合い、積極的にコミュニケーションを取りながら、共通の目標に向かって協力しています。このような組織文化は、社員一人ひとりのエンゲージメントを高め、企業全体のパフォーマンス向上につながります。
具体的には、以下のような取り組みが考えられます。
- ・チームで目標を設定し、進捗状況や成果を共有する場を設ける。
- ・部署横断的なプロジェクトを立ち上げ、異なる部署の社員同士が協力する機会を創出する。
- ・社員同士のコミュニケーションを促進するためのイベントや制度を導入する。
2-3.社員エンゲージメントを高める企業事例
社員エンゲージメントを高めることに成功している企業の事例は数多く存在します。
【事例紹介①】株式会社LIXIL
株式会社LIXILでは、「変わらないと、LIXIL」という取り組みのもと、国内事業の活性化を目指し、働き方改革に注力しています。有休取得の推進や育児・介護を支援する制度の拡充を通じて、従業員が働きやすい職場づくりを進めてきました。
さらに成長するため、現状を把握し、従業員の声を反映しながら、トップダウンとボトムアップの両方のアプローチで仕組みや職場環境の改善に取り組んでいます。具体的には、テレワークを前提とした在宅勤務者と出勤型の従業員を職種に応じて明確化するほか、出産や子育て、介護を支援する休暇制度を整備しています。また、資格や等級、人事評価、報酬制度を見直すことで、従業員の成長を支援する体制を構築しています。加えて、全従業員を対象とした意識調査を毎年実施し、職場環境の改善と従業員エンゲージメントの向上に努めています。
【事例紹介②】ロート製薬株式会社
ロート製薬株式会社は、「個人と企業の共成長を実現するWell-being経営」を掲げ、企業パーパスと個人パーパスが一致する部分だけでなく、あえて一致しない部分にも着目した取り組みを行っています。同社は、従業員が社外でさまざまな経験を積むことで、企業の枠を超えた社会的な価値を生み出し、それが将来的に企業の価値へとつながると考えています。
その一環として、社内でのダブルジョブを推進するだけでなく、社外での副業や兼業を許可しています。また、全従業員が年2回キャリアビジョンシートを作成し、役員がこれを基に異動案を検討する仕組みを導入し、従業員エンゲージメントの向上を目指しています。
参照:組織と従業員をつなぐ新たな価値観 これからの人事の軸となるEmployee Experience
3.社員エンゲージメントを高める方法
3-1.モチベーション向上のための施策
社員エンゲージメントを高めるためには、社員のモチベーションを高めるためのさまざまな施策を導入する必要があります。
社員のモチベーションを高めるためには、例えば、キャリア開発の機会を提供することが重要です。
具体的には、以下の様な施策が考えられます。
①スキルアップ支援制度
社員のスキルアップを支援するために、外部研修やオンライン学習プログラムの受講費用を補助します。 希望する資格取得にかかる費用を会社が負担する制度も有効です。 スキルアップは社員のモチベーション向上だけでなく、企業の競争力強化にも繋がります。 社員が積極的にスキルアップに取り組める環境を整えましょう。
②社内公募制度
新しい職種やプロジェクトへの挑戦意欲を高めるために、社内公募制度を導入します。 社員は、自身のキャリアプランに基づいて、積極的に異動希望を出すことができます。 多様なキャリアパスを用意することで、社員の成長意欲を高め、組織全体の活性化を促します。
③評価制度の見直し
社員の頑張りを適切に評価し、フィードバックできる評価制度を構築します。 目標設定や評価基準を明確化し、納得性の高い評価制度にすることが重要です。 評価結果に基づいた昇給や昇進制度を設けることで、社員のモチベーション向上に繋げます。 また、定期的な面談を通して、社員のキャリアプランや目標を共有し、会社としてのサポート体制を明確化しましょう。
3-2.チームワーク強化の重要性と具体的な方法
前述の通り、チームワークを強化することも、社員エンゲージメントを高める上で非常に重要です。社員同士が互いに協力し、助け合いながら仕事に取り組める環境を整備することで、社員一人ひとりのエンゲージメントを高めることができます。
チームワークを強化するための具体的な方法としては、以下のようなものが挙げられます。
- ・チームで共通の目標を設定し、全員でその達成に向けて取り組む
- ・定期的にチームでコミュニケーションを図る機会を設け、情報共有や意見交換を行う
- ・チームビルディング研修などを実施し、チームワークを向上させるためのスキルを習得する
- ・社員同士のコミュニケーションを活性化させるためのツールを導入する
3-3.リーダーシップとコミュニケーションの役割
社員エンゲージメントを高めるためには、リーダーシップとコミュニケーションが重要な役割を果たします。リーダーは、企業のビジョンや目指す方向性を明確に示し、社員一人ひとりがその実現に向けて主体的に行動できるよう、適切な指示や指導を行う必要があります。また、社員の声に耳を傾け、彼らの意見を尊重しながら、風通しの良い職場環境を築くことが重要です。さらに、社員同士が活発にコミュニケーションを取り、情報共有や意見交換を円滑に行えるような仕組みづくりも重要です。コミュニケーションを活性化することで、社員同士の相互理解を深め、一体感を醸成することができます。
4.社員エンゲージメントの測定方法
4-1.エンゲージメント測定の重要性
社員エンゲージメントを高めるためには、現状を把握し、課題を明確にすることが重要です。そのためには、社員エンゲージメントを定期的に測定することが不可欠です。測定結果を分析することで、社員エンゲージメントに影響を与えている要因を特定し、効果的な改善策を講じることができます。
4-2.代表的な測定方法と指標を紹介
社員エンゲージメントを測定する方法としては、主に以下の3つが挙げられます。
- ・サーベイ調査: 質問項目を事前に設定し、社員に回答してもらう方法です。質問項目は、仕事への満足度、会社への愛着、上司や同僚との関係性など、多岐にわたります。
- ・インタビュー調査: 少人数の社員に対して、個別に面談を行い、仕事に対する意識や意見をヒアリングする方法です。サーベイ調査では把握しきれない、社員の生の声を聞くことができます。
- ・人事データ分析: 勤怠データ、離職率、人事評価などの既存の人事データを分析することで、社員のエンゲージメントを間接的に測定する方法です。
これらの測定方法を組み合わせることで、より多角的に社員のエンゲージメントを把握することができます。
4-3.組織エンゲージメントの評価方法
組織全体のエンゲージメントレベルを評価するためには、サーベイ調査の結果などを用いて、エンゲージメントスコアを算出する方法が一般的です。エンゲージメントスコアとは、複数の質問項目に対する回答結果を数値化したもので、組織全体のエンゲージメントレベルを客観的に把握することができます。また、エンゲージメントスコアを部署別、役職別、年代別などに分析することで、組織内のエンゲージメントレベルのばらつきを把握し、課題を抱えている部署や社員層を特定することも可能です。
5.さいごに
本記事では、社員エンゲージメントの意味や重要性、企業成長への影響、具体的な向上施策、測定方法までを網羅的に解説しました。社員エンゲージメントを高めることは、企業にとって、生産性向上、顧客満足度向上、離職率低下、企業イメージ向上など、多くのメリットをもたらします。
企業は、社員が仕事に誇りややりがいを感じ、自発的に行動を起こせるような環境を整備することで、社員一人ひとりのエンゲージメントを高め、企業全体の成長につなげていくことが重要です。
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