新人研修の内容やカリキュラムとは?研修実施での気をつけるべきポイント

新卒や中途採用者を対象とした「新人研修」をどう進めていけばいいのか悩んでしまうことはありませんか。新人研修を成功させるためには、何よりも研修を行う目的を明確にしておく必要があります。基本的な流れや具体的な研修方法を把握することで、より実りある研修を行えるでしょう。新人研修を実施する際に気をつけるべきポイントについて詳しく解説します。

1.新人研修の目的とは

新人研修は一般的に、新卒や新しく入った中途採用者を対象に行う研修のことを指します。業務に関する基礎的な知識を身につけさせるだけでなく、社内での自分の役割を把握してもらう目的もあるのです。また、新卒社員であれば社会人として気持ちを切り替えさせるといった目的もあります。新人研修の目的は、業務をこなすための土台づくりであり、人材を育てるための最初の一歩といった意味合いがあると言えるでしょう。研修に充てられる期間は限られているため、効率的に目的を達成していくことが求められます。

2.新人研修ではどんなことを行う?

新人研修では具体的にどのようなことが行われるのかについて、詳しく見ていきましょう。

2-1.企業についての理解を深める

企業で働くうえでは、何よりも業務全体の把握が重要です。どのような仕組みで日々の企業活動が行われているのかわからなければ、能力の活かしようもないでしょう。特に「経営理念」は業務のすべてに通じるものであるため、研修対象者にきちんと定着をさせる必要があります。経営幹部や上司、先輩社員といった立場の人たちが新人社員にしっかりと伝えていくことが肝心です。

2-2.社内でのコミュニケーションを深める

新人の立場からすれば、新しい環境に慣れるまでにはどうしてもストレスを感じてしまう部分もあります。緊張のあまり、本来のパフォーマンスを発揮できないということもあるでしょう。研修効果を高めるためには、社内でのコミュニケーションを深めていくことが大切です。同期の横のつながりだけではなく、上司とのコミュニケーションも大切になります。新しく入った中途採用者の場合であれば、入社後すぐに部下ができる可能性があるため、横だけでなく縦のコミュニケーションも欠かせないのです。

2-3.実践的な業務の体験をする

新卒社員であればイチから業務を教えていく必要があるものの、中途採用者の場合であれば実務的な研修を行う必要があります。中途採用者は社会人としての基礎的な能力が身についているのが前提であるため、実践的なスキルを身につけさせるためのカリキュラムを組んだほうが良いでしょう。必要に応じて、新卒社員と中途採用者の研修を分けることも大切です。

3.新入社員研修を自社で行うメリット

新入社員研修は外注もできますが、自社で行うことも可能です。それでは、自社で研修を行うことにはどのようなメリットがあるのでしょうか。まず、講師役を務める社員の人材育成スキルが上がるという点が挙げられます。そして、研修を繰り返すうちに企業に人材育成のノウハウが蓄積されていき、年を重ねるごとに効果的なカリキュラムを組めるようになるでしょう。企業全体が団結し、「新入社員を育てよう」という意識を共有できることも自社で研修を行うメリットの1つです。その他、外注する場合よりも研修のコストが抑えられるというメリットも挙げられます。自社独自の方法で人材を育成したい、なるべくコストを抑えたいという企業は、新入社員研修を内製するのが向いています。

4.新入社員研修を自社で行うデメリット

外注よりもコストを抑えられるメリットがある一方で、相応のデメリットもあります。まず、教え方にばらつきが生じる可能性があるので注意が必要です。研修を担当する社員は人材育成のプロではないため、全員に均等なスキルを期待することはできません。また、新入社員研修を担当する社員の負担が大きくなることも考慮する必要があります。カリキュラムを組む、講義の準備をするなどの作業に追われ、本来の業務がおろそかになっては元も子もありません。そして、教育内容に偏りが生じる恐れがあることにも注意しておきましょう。研修を内製する場合、基本的に自社の事例を基にしてカリキュラムを組むことになるため、他の企業や業界に関する情報を取り入れにくくなります。

5.新入社員研修の計画を立てる手順

新入社員研修の計画を立てるときは、正しい手順を押さえることが大切です。まず、新入社員の能力にはばらつきがあるので、受講者のレベルを把握しましょう。それぞれのレベルに合わせたカリキュラムを組むことで、効率的にスキルを育成することができます。
次に、新入社員研修の目的とゴールを設定します。研修を通してどのようなスキルを身に付けてほしいのか、どのような人材を育てたいのかといったことを考えながら、研修の目的を設定してください。
このとき、現場の社員や経営陣へのヒアリングを実施することも忘れてはいけません。新入社員に求めるスキルは配属される部署によって異なります。研修で何をどこまで教育すれば良いのか事前に確かめておくことで、新入社員がスムーズに実際の業務へと移ることができるでしょう。新入社員研修の目的やゴールは、企業全体で認識を共有しながら設定することが重要です。
最後に、研修の目的を達成するための具体的なプログラムを策定します。「ビジネスマナー」「業務内容」などのカテゴリーに分けたうえで、それぞれのゴールを達成するために必要な研修内容や期間、方法などを考えてください。新入社員のモチベーションを保つために、座学とグループワークを混ぜるなどの工夫も必要です。

6.新人研修の流れやカリキュラムとは

新人研修を成功させるためには、基本的な流れやカリキュラムを把握しておく必要があります。どのような流れで行なわれるのかを見ていきましょう。

6-1.内定者を対象とした研修

内定者を対象とした研修は、入社するまでの期間に行われるものであり、内定辞退を防ぐことを目的としています。内定を出したから必ず入社してくれるというものでもないため、企業側が適切なフォローを行っていく必要があるのです。また、社会人として働くための心構えを身につけさせたり、企業に対する理解を深めさせたりします。同時にビジネスマナーを習得させて、ほかの研修へスムーズに橋渡しをしていきましょう。

6-2.Off-JT

「Off-JT」は、職場から離れて行われる教育訓練のことを指しています。各セミナーに参加をしたり、座学で必要なスキルを学んだりするのです。入社してから一定期間は部署には配属せず、業務を遂行するために必要なスキルを習得させることに重きを置きましょう。Off-JTの良い点は、研修対象者に対して同一の研修を行うため、個々に対するアプローチに差が出にくいということです。また、実務から離れて体系的に学ばせられる機会を作れます。

6-3.OJT

「OJT」は、日々の業務を通じて教育を施していく研修方法です。座学で一通りの学習を行い、各部署に配属されたあとには実務のなかで具体的なスキルを習得させます。OJTのメリットは研修コストがあまりかからない点と、実践的なスキルを身につけさせられる点が挙げられるでしょう。その一方で、教える側の上司や先輩社員の能力による影響も大きく、個々に対するアプローチに差が出やすくもあります。また、断片的にスキルを教えがちであるため、体系的な学習を施すのが難しい面もあるのです。

6-4.フォローアップ研修

「フォローアップ研修」は、研修実施後に内容を振り返って研修内容の定着率をアップさせることを目的としています。また、配属が決まって実際の業務に取り組み始めたことで、何らかの不安やストレスを抱えている可能性もあるでしょう。適切なフォローを行うことで対象者の悩みを解消して、業務に対するモチベーションを向上させることを目的としています。

7.新入社員研修で使われる教育手法とは

新入社員研修ではさまざまな教育手法が使われます。ここからは、研修で使われることが多い4つの手法について解説します。

7-1.グループワーク

研修の参加者がグループ単位で課題に取り組む活動を「グループワーク」といいます。グループワークは、課題のタイプに応じて「プレゼン型」と「作業型」に大きく分けられます。「商品Aの売り上げを向上させるための施策を発表しなさい」といった課題を与えられ、グループで議論を行って最終的に結論を発表するのがプレゼン型です。対して、作業型では「目の前にある材料だけを使って高い塔を作りなさい」といった課題に協力して取り組みます。

7-2.レクリエーション

参加者でゲームなどを行う「レクリエーション」を新入社員研修で実施する企業もあります。参加者同士でペアになって相手を紹介する他己紹介や、本格的な脱出ゲームなど、レクリエーションの内容は多岐にわたります。新入社員同士の団結力を高めたいときに効果的な方法です。

7-3.ケーススタディ

「ケーススタディ」とは、実際の業務で起こり得る事例について解決策や対処法を考える教育手法のことです。電話応対や営業方法など、座学で学んだ内容を実践形式で試すことができます。ケーススタディは後述する「ロールプレイ」と併せて実施される場合が多いでしょう。

7-4.ロールプレイ

実際の業務における役割をそれぞれ演じ、お互いの立場の考え方を学ぶために行われるのが「ロールプレイ」です。例えば、配属先が営業職なら「取引先」と「営業社員」を演じ、ビジネスの場における振舞い方を学習します。ロールプレイを経験しておくことで、実際の現場で同様のことが起こった際、適切に対応できるようになることが特徴です。

8.新入社員研修の実施期間

新入社員研修の実施期間は、教育する社員が新卒採用か中途採用かによって適切な長さが異なります。まず、新卒採用の場合は3~6ヵ月程度の研修期間が適切です。新卒だとビジネスマナーなどの基本から教える必要があるため、なるべく時間をかけて教育を行っていくのが望ましいでしょう。一方、中途採用の場合は1~3ヵ月程度の短い期間で研修を行うのが一般的です。新卒社員と違い、すでに社会を経験しているので基本的な知識は備わっている場合が多く、教育に時間がかかりません。企業独自の制度や業務内容、業界の知識などを教えれば、すぐ実務に取りかかってくれるでしょう。

9.新入社員研修の効果の評価方法

新入社員研修は正しく評価を行い、その効果を適切に把握することが重要です。まず、新入社員を評価する際は、基本的なビジネスマナーが備わっているかどうかを確かめましょう。また、企業への帰属意識は芽生えているか、仕事へのモチベーションは高まっているかといった項目についても確認する必要があります。
これらの項目について効果を測定する方法としては、「インタビュー」「理解度テスト」「行動観察」の3つが挙げられます。インタビューとは、直接新入社員に意見を聞く方法のことです。研修を通じて何を学んだのか、どんなことに気付いたのか質問することで、新入社員の意欲などを探ることができるでしょう。理解度テストは研修の前後に実施し、研修によって新入社員がどれほど成長したのかを測定する方法です。行動観察では、実務における新入社員の様子を観察して研修の効果を測ります。配属先の上司などにヒアリングを行うことで、新入社員の働き方を確認できます。

10.新人研修を行う上でのコツとは

新人研修を効果的に行うためには、いくつかのポイントを押さえておく必要があるのです。どのような点に気をつけるべきかを解説していきます。

10-1.疑問には素早くアプローチする

研修対象者が疑問を抱えた状態のまま研修を進めてしまっても、効果的に学習をさせることはできません。そのため、気になったことを質問しやすい環境を整えてあげたり、定期的にレポートを提出させたりするなどして必要な対策を講じていくようにしましょう。研修を行って終わりではなく、細やかなフォローが必要となるのです。

10-2.目的別の研修形態を選ぶ

研修といっても、座学・グループワーク・ロールプレイなどさまざまな形態があります。目的に合わせて研修形態を選ぶことによって、研修効率を高めていくことができるでしょう。また、短期間で研修の効果を発揮させたい場合には、合宿を行うのもひとつの方法だと言えます。

11.新人研修を行う上での注意点とは

新人研修を成功させるためには、失敗しやすい原因についても把握しておく必要があるでしょう。どのような部分に注意すべきかについて解説していきます。

11-1.座学だけで終わってしまう研修

新人研修で起こりやすいミスは、座学だけで終わってしまう点です。研修でせっかく新しい知識を学んだとしても、その後に何もしなければすぐに内容を忘れてしまうでしょう。そのままの状態では、実際の業務に活かすことができないため注意が必要です。研修後のフォローまで含めて、実施計画を立てていくことが大切だと言えます。

11-2.失敗を振り返るだけの反省会

研修で失敗を起こしてしまったときに振り返ることは重要であるものの、単に失敗を見つけるだけの反省会になってしまってはいけません。意味もなくモチベーションを低下させるだけになってしまうので、注意しておきましょう。むやみにミスを責めるのではなく、具体的な改善方法を見つけることに重きを置いて、失敗の振り返りだけに終始しないことが肝心です。

12.新入社員研修の助成金制度を活用しよう

新入社員研修の実施時は、条件を満たせば助成金を受けられる場合があります。「人材開発支援助成金」は労働者のキャリア形成を促すための制度で、人材育成や職業訓練などを労働者に対して行った事業者に支給されるものです。人材開発支援助成金のさまざまなコースのうち、新入社員研修は若年層への訓練を行う「特定訓練コース」に該当することが多いでしょう。実施するのがOFF-JTかOJTか、生産性要件を満たすか、何時間行うかといった条件によって支給金額は変動します。そのため、研修を行う前に助成金の支給条件を確かめておくと良いでしょう。

13.外部の研修会社の活用がおすすめ

効率的に研修を進めていくためには、時には社外に研修を依頼することもおすすめです。どのようなメリットがあるのかについて紹介します。

13-1.プロによる研修を受けられる

外部の研修会社は教えることを専門としているので、説明内容が分かりやすいといった特徴があります。自社の社員に任せる場合では、担当者に知識やスキルはあっても、教えることが上手であるとは限らないものです。社内での研修に限界を感じるときには、プロによる研修も検討してみましょう。

13-2.研修にかかる負担を軽減できる

研修を行うためには企画を練るところから始まり、資料の作成や評価、研修効果の分析などさまざま作業が必要となります。イチからすべてを行うのは大きな手間となってしまい、場合によっては業務に支障が出てしまうこともあるでしょう。外部の研修会社を利用すれば、そのような負担を軽減し、本来の業務にも集中することができます。

14.H&G新入社員研修が利用できる

H&Gでは新入社員研修を運営しています。現場での経験が豊富な講師陣がそろっており、研修を通じてビジネスマナーやサービス業の基礎をわかりやすく指導します。また、さまざまな業種や業界から参加者を募っているため、新入社員は異業種交流で刺激を得ながら成長することができるでしょう。さらに、E-ラーニングを活用して学習や試験が行えるので、効率的にビジネススキルを育成できます。新入社員の定着率に不満がある企業や、効率的に研修を行いたい企業には、H&Gの新入社員研修をおすすめします。

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方山 敏彦

投稿者プロフィール

人事部で5年間のキャリアを持つ他、会社経営者として8年間、人材の採用・育成に従事。運営事業業種としてはサービス業であり、サービス業の現場の悩みや事例に精通。

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