部下育成は、管理職にとって重要な任務の一つです。しかし、すべての管理職が適切な部下育成スキルを備えているわけではないため、「部下育成に悩んでいる」という方も多いのではないでしょうか。もしかすると、部下が育っていない原因は管理職や店長の人材育成スキルに問題がある可能性があります。そこで、本記事では管理職が部下育成をする際に押さえておきたいポイントや、部下育成に効果的な研修をご紹介します。
1.部下育成の8つのポイント
積極的にコミュニケーションを取る
部下育成に限らず、職場で良好な人間関係を構築するための大原則は、コミュニケーションを欠かさないことです。職場内の社員との会話を通じて、それぞれの好みや価値観、得意不得意などを把握できます。たくさんの部下と接してきた上司であれば、部下自身が気づいていない才能を見出して部署内の担当を新たに振り分けることもできるでしょう。そのためにも、上司から積極的にコミュニケーションを取り、部下が仕事で困ったときに「真っ先に〇〇さんに相談しよう」と思える雰囲気を作ることが大切です。相談しやすい人間関係が構築できていれば、部署内の意思疎通も活発になり業績向上も見込めます。
ただし、積極的にコミュニケーションを取るといっても、あくまでも業務上のコミュニケーションにとどめましょう。プライベートに関する内容は、ほどほどにしておくのが無難です。コミュニケーションを深めたいからといって、無理に飲み会に誘ったり上司の趣味に付き合わせたりすることは逆効果となりかねないため注意しましょう。
部下の言葉に耳を傾ける
部下にとって良き上司の条件となることの一つは、自身の話を聞いてくれることです。部下の話を遮ったり部下の提案を聞き流したりする行為は、部下にしてみると「話を聞いてくれない上司」という印象になり、モチベーションが低下する可能性があります。また、部下に対する対応がひどい場合は「パワハラ上司」として認定されるおそれもあるため、十分に配慮したいところです。現在中高年以上の管理職の方が若かったころは、自ら考えて行動するのではなく、上司から指示された業務をこなす業務スタイルが一般的だったケースもあるでしょう。しかし、現代では大きく様変わりしたことを認識したうえで、時代に合ったスタイルを取り入れる柔軟さが必要です。
部下からの信頼を得るためには、部下が話した内容をしっかりと聞いて受け止め、承認することが大切です。従業員を管理する立場の場合、業務が多忙で時間を作りにくい方もいるでしょうが、可能な限り時間を確保して部下の話に耳を傾けるようにしましょう。傾聴してあげることで、部下からの信頼が厚くなり、全体の業務がスムーズに回るようになれば、結果的に管理職の負担が少なくなる可能性もあります。
一人ひとりに合わせたサポートを行う
企業規模にかかわらず、従業員ごとに能力や業務の習熟度に違いがあるため、一人ひとりに合わせたサポートが必要です。すべての部下に対して均一的な指導を行う仕組みが構築されていると、管理職の業務は楽になりますが部下の成長にとってはマイナスに働きかねません。できるだけ習熟度が浅い部下に対しては積極的に指導し、習熟度が高い部下には自分で考えてもらうなどの工夫が必要です。
ただし、あまりに理解力がないからといって、手取り足取り指導してしまうことは部下の成長を妨げることにもなりかねません。自分自身で試行錯誤を重ねながら成長を目指すほうが問題解決能力なども高まりやすいため、細かすぎる指示ではなく重要なポイントだけをアドバイスするのがおすすめです。ただし、部下の判断だけで進めると失敗する可能性が高い内容の場合は、リスク回避のサポートを行いましょう。
自分の考えを押し付けない
自分の考えを押し付けて指導することが、必ずしも部下の成長につながるとは言えません。むしろ、現代で押し付け型の手法を取るとパワハラ問題に発展する可能性があります。その結果、部下からの信頼を得るどころか、部下から相談される機会も減ってしまうでしょう。「世代が違えば考え方も違う」という認識を持ち、自分の意見を押し付けない指導が大切です。日ごろから「世代が異なる部下とは価値観も意見も異なるのが当たり前」と捉えておくと、異論があっても素直に聞き入れられます。場合によっては、自分が思いつかない意見によって業務が大きく改善する可能性もあるでしょう。
なかには、上から目線で自身の考えを押し付けようとする上司もいますが、これは部下の反発を招く可能性がある行為です。部下が失敗した場合に「だから言っただろ」「指示通りに動け」などと怒鳴っても良い結果を得られません。まずは、部下の話に耳を傾け、そのうえで改善ポイントを提示するなど、部下の人間性を尊重して接しましょう。
部下の価値観を理解するよう努める
人材育成を担う管理職に必要な素養の一つが理解力です。部下が自身の思考や言動、行動について理解してもらえていると感じると、上司に対する信頼度は高まる傾向にあります。上司が行うべきなのは、「部下の仕事に対する価値観と自分の価値観は異なる」という意識を持つことです。部下の価値観を十分に理解できないとしても、理解しようとする姿勢は良い方向に変化することが期待できます。部下の価値観を理解できるようになれば、部下の長所を伸ばす指導も行いやすくなるでしょう。なにより、部下自身が上司に理解されていると感じると、安心して業務に臨めるようになり、業務全体がプラスの方向に働きます。
部下の成長につなぐ仕事の割り当てを行う
部下育成は、文字通り人材育成となるため、部下の成長をサポートするのが上司の最大の役目です。部下に雑務ばかりを与えてしまうと、「自分は期待されていない」と感じてモチベーションが下がる原因になってしまいます。一方で、部下の得意分野を伸ばせるような業務を上手に割り当てることができれば、部下のやる気を向上させ想定以上の成長が期待できるでしょう。
また、自社の将来像に照らし合わせた結果、「部下の希望とは異なるスキルを身につけてほしい」と感じるケースもあります。そのようなときに、部下に何も伝えずに業務を割り振ってしまうと、部下はマイナスの感情を抱きかねません。それを防ぐためには、「どのような目的で部下に業務を割り当てたのか」「その業務が部下にとって将来的にどのような影響を及ぼすのか」について具体的に説明することが大切です。
できていることはしっかり認めて褒める
叱咤激励により、部下を成長させるような企業文化は、現代では通用しません。もちろん、問題がある場合は叱る必要はあるものの、できていることは認めて褒めるようにしたほうが部下のモチベーションは向上しやすくなります。ただ、褒めるといっても仕事の結果だけを評価して褒めるのはおすすめできません。どのような仕事にもプロセスがあり、思うような結果を得られなくても評価に値するプロセスもあるはずです。
例えば、結果は得られなくてもプロセスが良かった場合は、「どんな面が良かったのか」「こうしたらもっと良くなる」などのアドバイスも積極的に行いましょう。また、褒めるときは笑顔が大切です。自分のことのようにうれしいと感じている様子がわかる笑顔や、前向きな言葉をかけてもらうことで、部下はモチベーションを維持したまま次の目標に向かっていくことが期待できます。
怒るのではなく叱る
部下の行動が間違っていたり問題があったりすれば、当然叱る場面もあるでしょう。ただし、自分の感情に任せて頭ごなしに怒ってしまうと部下は萎縮してしまいます。道理がなく怒られ続けてしまうと、上司に対しての不信感を募らせたあげくに退職する人もいるほどです。そのため、「怒る」のではなく「叱る」という点に気をつけましょう。「怒る」とは、自身の感情をぶつけることで、「叱る」とは部下を良い方向に導くためのものです。論理的な理由をもとに叱るようにすれば、部下も納得して業務に望んでくれるでしょう。
もちろん、人格を否定したり人前でみんなに聞こえるような大声で叱ったりすることは、部下の自尊心を傷つけてしまいかねません。叱る場面にも十分に配慮しつつ、部下の言い分も聞くようにしましょう。そのうえで、改善のためのアドバイスを含めた叱り方ができれば部下も納得してくれるはずです。
2.部下育成に課題を抱えているなら外部研修を検討しよう
部下育成に関する8つのポイントは、理解できたでしょうか。ホスピタリティ&グローイング・ジャパンでは、部下育成に関する講座を多数用意しています。会社毎にカスタマイズできる管理職向けの出張研修も行っているため、企業が抱えている課題解決にも有効です。企業の将来を支える人材育成には、教える側の教育も欠かせません。部下育成に関する課題を解決するためにも、まずはホスピタリティ&グローイング・ジャパンにお問い合わせください。