企業の成長には管理職の存在が必要不可欠だといわれますが、それはなぜなのでしょうか。管理職と呼ばれる役職は種類が多いため、具体的にどのような役割を担っているのかあまりよくわからないという人もいるでしょう。求められるスキルの幅も広そうです。この記事では、管理職の定義や求められるスキルを紹介し、スキルアップの方法についても解説します。
1.そもそも「管理職」とは?
管理職というと、部長や課長など部署のトップに位置する役職のことだと思っている人が案外多いのではないでしょうか。しかし、単に部署の最上位の役職を管理職と呼ぶわけではありません。管理職という役職を定義づけるなら、企業が設定した目標を達成するために、部下の管理や指揮を担う役職ということになります。現場の決裁権を持っている点が特徴です。企業によって管理職と呼ぶ範囲が異なり、部課長クラスを管理職と呼ぶ企業もあれば、マネージャークラスを管理職と呼ぶ企業もあります。
業務内容や与えられた権限、労働の態様、待遇などが労働基準法でいう「管理監督者」に相当する場合は、時間外や休日に関する労働の規定が適用されません。そのため、労働時間の制限を超えて働くことができますが、残業代などの支給はなくなります。その点で一般社員とは別に扱われる存在であることがわかります。すべての管理職が管理監督者にあたるとは限りませんが、ほとんどのケースで重要な職務と責任、権限を与えられ、地位に応じた待遇を受ける役職です。管理職は事業を進めるうえで重要な役割を担う役職だといってよいでしょう。
2.管理職に求められるスキル
管理職は企業にとって重要な役割を担う役職です。一般社員とは職務内容も待遇も異なるため、その職務を担ううえで求められるスキルも、一般社員とは異なるものでしょう。この段落では、管理職に求められるスキルを3つ紹介します。
ヒューマンスキル
ヒューマンスキルとは、仕事をするうえで必要となる人間関係を築く能力のことです。仕事を円滑に進めるためには、いつもの職場や所属している企業内だけでなく、取引先など社外の人との関係も重要になります。ヒューマンスキルは複数の能力の組み合わせで、コミュニケーションスキルもその中のひとつです。管理職の職務内容に合わせて具体的な能力を挙げるなら、部下を指導したり育成したりする能力がまず挙げられます。リーダーシップやマネジメント力を発揮して、任せられた部下の指導や育成をしなければなりません。
また、管理職には部下だけでなく上司もいます。そのため、下だけを見て仕事をするわけにはいきません。上司や取引先の人を巻き込んで、望ましい方向へ動かすこともときには必要です。立場上、組織全体を変革させていく推進力も求められるでしょう。どのような形であれ、周囲にいる人の様子をしっかりと観察し、正しい行動をとることが求められます。このようなヒューマンスキルは、どの階層の管理職にとっても重要です。すべての社会人にとって必要なスキルといっても過言ではありません。
テクニカルスキル
テクニカルスキルとは、業務を進めるにあたって必要となる知識や技術などのことです。求められるスキルの内容は、どのレベルの管理職かというよりも、どのような業種や職種における管理職かという点に左右されます。専門的スキルを求められることが多く、どの管理職にはこのスキルが必要というように、具体的に挙げられることがほとんどです。たとえば、IT企業の管理職であれば、プログラミングに関する知識や技術はある程度持ち合わせている必要があるでしょう。営業部門の管理職なら、自分でも顧客を獲得できるだけの知識や技術を持ち合わせていなければ、部下に対して説得力がありません。
テクニカルスキルは専門的かつ具体的なスキルなので、現場に近い下級管理職ほどより専門的な能力を求められるのが特徴です。逆に、上級管理職になるにつれて、専門的な内容は部下に任せることになるため、テクニカルスキルがあまり重視されなくなっていきます。そのような中で管理職全般に求められるテクニカルスキルを挙げるなら、組織を管理するマネジメント力や、適切に部下を評価する人事評価スキルなどになるでしょう。
コンセプチュアルスキル
コンセプチュアルスキルとは、目標達成のために必要な課題の本質を捉える能力です。物事を戦略的に捉え、組織としてのビジョンを描き出したり、ミッションを進めていく手順や方法を概念化したりする力のことをいいます。わかりやすい例を挙げるなら、組織が置かれている現状を正しく分析する分析力や、解決が必要な課題を発見する能力、トラブルの対処方法を検討しその効果を予測する能力などです。管理職の中でも、特に経営層に近い役職に強く求められるスキルといえます。
コーチングの技法を用いて対話するやり方もコンセプチュアルスキルのひとつとして有効です。質問を数回にわたって投げかけ、部下に自発的な行動を促すコミュニケーションスキルをコーチングといいます。自然な形で議題を深掘りしていけるので、物事の本質を見極めやすく、ビジョンやミッションを概念化しやすいのが特徴です。他にも、多面的に物事を見られる視野や柔軟性などもコンセプチュアルスキルの大事な要素だといってよいでしょう。
3.スキルアップする為にはどうしたらよい?
管理職には大きく分け3つのスキルが必要だということがわかりました。では、どのようにしてスキルアップを図ればよいのでしょうか。有効な方法として挙げられるのは社内研修と社外研修の2つです。ここからはそれぞれの研修について解説します。
社内研修
社内研修とは、社内で用意したプログラムに基づき、業務に必要な知識や技術を習得する講座のことです。社内研修では自社の社員が講師を務めることが多く、自社内で必要とされるスキルを効率的に身につけることができます。社内研修といっても、強制参加の研修から自由参加の研修までさまざまです。
管理職の場合、社内研修を受ける側ではなく、講師として参加する機会もあるでしょう。社内研修の講師を経験することによって、受講者からさまざまな疑問点を直接聞くことができます。普段の業務ではなかなか聞き出せない生の声を聞く機会にもなるため、管理職に必要なスキルを向上させることにもつながるでしょう。
社外研修
社外研修でも管理職に求められるスキルを身につけることができます。社外研修とは、外部企業のプログラムや社外の専門家を講師とする研修のことです。社外研修を受けることによって、社内研修では身につけることが難しいより高度なスキルを身につけられます。講座が階層別や身につけたいスキル別に細かく分けられている点も効率的です。その道の専門家が場面に応じて必要なスキルを具体的に解説してくれるため、実践的で役立つスキルを身につけられます。
管理職向けの社外研修を行っている企業もあるので、どのような研修を受けられるか一度確認してみましょう。社外研修を専門に行う企業ではさまざまな管理職についてのノウハウを蓄積しています。社外研修はお金と労力が必要となりますが、得られるものが社内研修とは大きく違うので、まったく別物と捉えた方がよいでしょう。本気でスキルアップを目指すなら、社外研修を上手に活用するのがおすすめです。
4.やりがいは大きいが責任も重い管理職!意識的にスキルアップを
管理職は求められる責任が重大です。当然のように高いスキルも要求されます。管理職としてスキルアップしたいならH&G IN-HOUSE TRAINING(出張研修)の利用を検討してみてはいかがでしょうか。100種類にも及ぶ研修の中から、企業ごとの課題に合わせて必要なものを選び、カスタマイズできる点が特徴です。管理職向けの研修もあるので、まずは詳細チェックや問い合わせをしてみてください。