各企業が実施している研修の実態について

近年、コンプライアンスやハラスメントの問題が表面化し、ニュースでも頻繁に取り上げられるようになっています。これらの問題は企業にとって非常に深刻であり、従業員の定着率や社会的なイメージにも大きな影響を及ぼします。そのため、企業の多くがこうした問題に対する従業員の意識を高めるための研修を導入しているという話をよく耳にするのではないでしょうか。

今回は、実際にどの程度の企業がこのような問題に関する研修を実施しているのか、その割合をご紹介します。まず、企業が行っている具体的な研修内容について、HR総研の『人材育成「テーマ別研修」に関するアンケート調査』の結果を見ていきましょう。

「現在、実施しているテーマ別研修」について聞いてみた。すると、「コンプライアンス研修」が64％で最多であり、次いで「ハラスメント研修」が53％、「個人情報関連研修」が42％などとなっている＜中略＞。この傾向は前回調査（2018年10月実施、以降同じ）と同様となっており、企業としての社会的責任を果たすための「守りのテーマ」が上位に挙がっていることが分かる。一方、「ダイバーシティ」「グローバルリーダーシップ」等、比較的未来志向である「攻めのテーマ」については優先順位が低く、実施している企業の割合は少ない傾向がうかがえる。

この調査結果からわかるように、多くの企業が「コンプライアンス研修」や「ハラスメント研修」を実施しています。これらの研修が多くの企業で行われている背景には、コンプライアンス違反やハラスメントが重大な社会問題となり、企業がそれに真剣に取り組んでいる姿勢がうかがえます。加えて、個人情報の保護に関する研修も、情報漏えい防止の観点から多くの企業で積極的に導入されています。

また、企業が今後強化を予定している研修について、同調査から興味深いデータが示されています。

「今後、強化する予定の研修」については、「リーダーシップ研修」が28％で最多であり、次いで「ハラスメント研修」が20％、「コンプライアンス研修」が17％などとなっている。＜中略＞「管理職研修の内容」としても盛り込まれることの多いテーマについて、課題感を持たれている傾向がうかがえる。

現在、即時性の高い研修としては「コンプライアンス研修」や「ハラスメント研修」が挙げられますが、長期的な視点では「リーダーシップ研修」も重要な要素となっています。特に、人手不足が深刻化する中で、従業員が離職する理由の一つとして「人間関係の問題」が挙げられることが多く、部下を持つ管理職の「コミュニケーション能力」や「マネジメント能力」を高める「リーダーシップ研修」の重要性が増しています。これらの研修は、企業が持続的に成長し続けるために、欠かせない取り組みと言えるでしょう。

この機会に、各企業が実施している研修内容を見直し、今後の課題に対応するための再構築を検討してみてはいかがでしょうか。企業の未来を担う人財を育てるための研修プログラムは、ますます重要な役割を果たすことになるでしょう。

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