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- パワハラとは?おかしいと思ったら確認!簡単にできるチェック項目を解説
職場でのパワハラを防止するには、日頃からパワハラが起きていないかどうかをチェックすることが重要です。ここでは、パワハラの具体的な事例を解説したうえで、企業として確認するべきチェック項目の内容について紹介します。
1.そもそもパワハラとはどんなもの?
厚生労働省は職場のパワハラについて「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」という定義をしています。しかし、抽象的な表現が多いので、わかりにくく感じる人もいるかもしれません。そこで、まずは具体的にどのような行為がパワハラに当てはまるのかを説明します。
1-1.身体的攻撃型
身体的攻撃型のパワハラは、相手に暴力を振るう行為を指します。具体的には殴る、蹴るといったものが想像しやすいのではないでしょうか。ほかにも、胸ぐらを掴む、タバコの火を近づける、ゴミ箱などの物にあたる威嚇行為もこのタイプのパワハラに含まれます。
身体的な攻撃型パワハラの一例
- 殴打、足蹴りを行う。
- 相手に物を投げつける。
参考:厚生労働省「あかるい職場応援団」『「ハラスメント基本情報 ハラスメントの類型と種類」』2021年4月7日最終閲覧
1-2.精神的攻撃型
精神的攻撃型のパワハラは言葉によって相手の心に苦痛を与えることです。怒鳴りつけたり、侮辱したりすることはもちろん、ほかの人がいる前で長々と叱ることもパワハラに該当します。「言葉の暴力」という表現がまさにピッタリの行為と言えるでしょう。
精神的な攻撃型パワハラの一例
- 人格を否定するような言動を行う
- 必要以上に長時間にわたる厳しい叱責を繰り返し行う。
- 他の労働者の前で、大声で威圧的な叱責を繰り返し行う。
参考:同上
1-3.人間関係からの切り離し型
人間関係からの切り離し型のパワハラは、相手が職場で孤立するように仕向けるような行為のことです。たとえば、無視する、同僚と離れた位置にデスクを移す、仕事上必要な連絡事項をその人にだけ教えないといったケースがあります。
人間関係からの切り離し型パワハラの一例
- 特定の労働者を仕事から外し、長時間別室に隔離する。
- 1人の労働者に対し、同僚が集団で無視をし、職場で孤立させる。
1-4.過大な要求型
過大な要求型のパワハラとは、相手の能力を超えた仕事を強要することを指します。たとえば、到底終わりそうもない仕事を丸投げしたり、達成不可能なノルマを課したりする行為をわざとしているような場合が挙げられるでしょう。
過大な要求型パワハラの一例
- 新入社員に必要な教育を行わないまま、到底対応できないレベルの業績目標を課し、達成できなかったことに対し、厳しく叱責する。
- 業務とは関係のない私用な雑用の処理を強制的に行わせる。
参考:同上
1-5.過小な要求型
過大な要求型の反対が過小な要求型のパワハラです。能力や経験に見合わない雑用のみをさせる場合が該当します。営業職なのに1日中掃除をさせる、企画職なのにプロジェクトに参加させないといったものです。また、本人にやる気があることがわかっているのに仕事を与えないケースもこのタイプに含まれます。
過小な要求型パワハラの一例
- 管理職である労働者を退職させるため、誰でも遂行可能な業務を行わせる。
- 気に入らない労働者に対する嫌がらせのために仕事を与えない。
参考:同上
1-6.個の侵害型
個の侵害型のパワハラとは、職場の人のプライベートに過度に干渉する行為です。交際相手や休日の過ごし方について執拗に聞いたり、退社後に個別に連絡をしたりするケースが典型的な例でしょう。さらに、相手が異性の場合や性的な意味合いが含まれる場合はセクハラにも該当します。
個の侵害型パワハラの一例
- 労働者を職場外でも継続的に監視したり、私物の写真撮影をしたりする。
- 労働者の機微な個人情報について、本人の了解を得ずに他の労働者に暴露する。
参考:同上
2.立場別にパワハラかどうかを確認できるチェック項目
パワハラの判断は線引きが難しい場合が多く、対処がスムーズに進まないこともあるかもしれません。職場で気をつけるべきポイントについてよくわからないときは、簡単なチェックリストを使うことをおすすめします。
2-1.パワハラを行っていないか
パワハラは上司から部下に対するものが圧倒的に多い傾向です。しかし、加害者である上司にパワハラをしているという自覚がない場合は、注意をしても改善が見られず、同じ問題が繰り返される可能性があります。とはいえ、自分のしている行為がパワハラに該当したり、該当する可能性があったりすることを客観的にチェックするのも難しいでしょう。厚生労働省はこうした状況を背景に管理職に就く人を対象としたパワハラチェックリストを公開しています。チェックリストには以下のような項目が並び、管理職自身が当てはまると思うものを選ぶ形式です。
- 部下から意見されるとイライラする
- 自分のミスを部下に謝ることはない
- 自分は怒りっぽい性格だと思う
- 何かあるとすぐ感情的に叱る
- 厳しくしないと人は育たないと思う
- 部下のなかに気に入らないと思う人がいる
- 仕事ができない部下に仕事を与えないのは仕方がないと思う
- 業績のためには就業間際に残業を頼むことをいとわない
- 部下は自分に気を使っていると思う
- 部下のプライベートを把握するのも上司の仕事のひとつだと思う
- 学校などで体罰をする指導者の気持ちを理解できる
このチェックリストで3項目以上が該当するようであれば、要注意とされます。回答者には日常の言動に気を配る必要があること、パワハラ研修の受講が効果的であることを伝えたほうが良いでしょう。
2-2.パワハラを受けていないか
パワハラ問題は判断を誤ったり、判断自体が遅れたりすると深刻度が増してしまいます。しかし、実際の職場で困るのは「この行為はパワハラに該当するのかどうか」という見極め部分であるケースが多いのではないでしょうか。この場合も厚生労働省のチェックリストを活用すれば、特定の従業員自身やその周囲の人がパワハラ被害を受けていないかを確認することができます。具体的には、以下のような項目に1つでも該当するとパワハラの可能性があるので要注意です。もし、これらの内容に当てはまる事例があるとされた場合は、企業としてより詳細な調査を丁寧に行う必要があります。
- 叱っている最中に物で頭を小突く
- 物を投げたり、蹴ったりして威嚇する
- 仕事のミスを人前で怒鳴る
- 「バカ」「クズ」といった言葉で侮辱する
- 「クビにするぞ」などと脅す
- 話しかけても無視する
- 仕事上必要な連絡や指示をしない
- 特定の人を飲み会などに誘わない
- 無茶なノルマを課す
- 就業間際に大量の仕事を与える
- 未経験の人に重大業務を丸投げする
- 能力や経験を無視した簡単な業務のみを与える
- 仕事を与えない、掃除などの雑用を強要する
- 仕事について度を越した監視をする
- 交際相手の有無を聞き、結婚を促す
- 個人の信仰する宗教を公表・批判する
- 休日や夜間に緊急度の低い仕事の連絡をする
2-3.職場でパワハラが起こる可能性がないか
チェックシートは社内の実態調査をする際も活用することができます。パワハラ対策の初期段階で実施するだけでなく、時期を決めて定期的に行うことで状況変化にも対応しやすくなるでしょう。以下のような項目に3つ以上該当するようであれば、職場内でパワハラが発生する可能性が高いと判断して問題ありません。パワハラ問題の理解を促す研修をするなど、対策が必要です。
- 出社や退社のときにほとんど挨拶がない
- 上司は自分の職場にパワハラはないと考えている
- この職場では厳しい指導が当たり前になっている
- ミスや失敗が許されない雰囲気の職場だ
- ノルマが厳しく、達成できないと大きなペナルティがある
- 上司に意見を言えるような雰囲気ではない
- 職場で困っている人がいても助け合えない雰囲気だ
- 職場の問題点を話し合いで解決する雰囲気がない
- 正社員、パート、派遣社員の上下関係がはっきりしている
- 人の悪口をよく耳にする
3.パワハラの予防・解決のためにできることは?
社内でパワハラが起きている可能性があるような場合は早急に対応する必要があります。人手不足が深刻な現代では、パワハラによる離職は何としても避けたいところです。ここでは、企業としてどのような対策ができるのか、具体的な方法を紹介します。
3-1.経営層からの情報発信
パワハラ問題は企業全体で取り組むべき課題です。そのため、会社のトップや役員などの経営層から明確なメッセージを発信することが大切になります。まずはパワハラ対策が全従業員にとって重要な課題であることを明言すると良いでしょう。さらに、なぜ防止しなければならないかという理由も丁寧に説明すると、関心を集めることができます。また、具体的な対策方法としてはポスターの掲示や冊子の配布をしたり、社内に相談窓口を設けたりするのが一般的です。
3-2.パワハラ研修の実施
パワハラ対策は会社側から一方的に伝えるよりも、従業員参加型の取り組みのほうがより高い効果を期待できます。そのためには、パワハラ教育のための研修を実施するのがおすすめです。職種や部署を問わず、社員全員が受講できるようにして、会社全体に意識を浸透させていきましょう。会社の規模が大きい場合は管理職と管理職以外に分けて、内容に差を設ける方法も有効です。あるサービス業では、管理職と管理職以外に分けてパワハラ研修を行い、管理職の研修ではパワハラの相談があった場合の一次対応の方法などを具体的に紹介しています。研修に会社としての方針やパワハラ防止のルール、具体的な取り組み方法なども含めれば内容が充実します。
4.まとめ
職場でパワハラが起きないようにするには、会社全体で問題意識を持つことが大切です。パワハラの判断に活用できるチェックリストであれば、周知活動や研修などの対策と併せて積極的に取り入れても大きな手間にはなりません。もし自社で研修を用意するのが難しい場合は、実績・評価に定評のある「ホスピタリティ&グローイング・ジャパン」のハラスメント研修に申し込むのがおすすめです。ホスピタリティ&グローイング・ジャパンの講師陣はみなサービス業の現場経験が豊富であるため、研修で紹介する事例がご自身の会社で起きていることに似たものであったり、またサービス業界で起こりがちなハラスメントを熟知しているため、本質的な問題解決に寄与することができるのが魅力です。パワハラのない職場を目指して、継続的に課題へ取り組んでいきましょう。
参考サイト:
厚生労働省「あかるい職場応援団」『「ハラスメント基本情報 ハラスメントの類型と種類」』